カポエイラとは
カポエイラとは、格闘技・ダンス・アクロバット・音楽・文化など様々な要素をふくんだブラジルの伝統武術です。
最大の特徴は、「皆で輪を作り、楽器を演奏し歌を歌う。そして、その輪の中で華麗に踊るように闘う」ところです。
現在では世界のあらゆるところで、年齢・性別・国籍を超えてスポーツとして楽しまれています。
カポエイラの歴史
諸説ありますが、カポエイラは、16世紀にブラジルがポルトガルの植民地であった時代に、アフリカから連れてこられた黒人奴隷やその血を引く人々が生み出した格闘技と言われています。
奴隷たちは支配者たちから理不尽な暴力を受けることも多く、虐待から身を守るために「護身術」としてカポエイラを身に付けました。
すると支配者たちは奴隷たちの抵抗を恐れ「カポエイラをしているところを見つけると処刑にする。」と弾圧します。
弾圧から逃れるため、奴隷たちは音楽を奏で、踊りの練習をしているように見せかけて、密かにカポエイラの練習をしました。
これが今のカポエイラのルーツとなっています。
カポエイラ弾圧時代という暗い過去を乗り越え、1930年以降はカポエイラの師範達によって文明化された武芸へと変化しました。
その後、1970、80年代には教育カリキュラムの一つにも取り入れられ、ブラジルのスポーツ界で確固たる地位を固めました。
現在では、カポエイラの芸術性や文化としての重要性も高く評価されています。
カポエイラはブラジルの国技であり、2008年にはブラジルの無形文化遺産に、2014年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。
カポエイラは青少年の健全な育成、地域の社会福祉の重要な要素の一つにもなっています。
(参照:駐日ブラジル大使館「Texts of Brazil-カポエイラ」)
カポエイラの特徴
カポエイラは参加者が 『roda(ホーダ)』と呼ばれる輪を作り、楽器を奏で、歌を歌い、その輪の中で2人が『jogo(ジョゴ)』、いわゆるゲーム(試合)を行います。
『ginga(ジンガ)』と呼ばれる独特のステップから蹴り技を中心とした様々な技を繰り出します。
格闘技でありながら、攻撃を直接相手に当てるようなことはなく、勝敗をつける審判もいません。
相手とコミュニケーションをとりながらお互いに技を披露したり、相手の隙をついて攻撃したり、駆け引きを楽しむ即興芸術でもあります。
これが年齢や性別に関係なく誰でも楽しめる要因でもあります。
また、音楽とても重要な役割を担っており、良いホーダには良い音楽が欠かせません。
一度、美しい楽器のリズム、歌声のハーモニーがある輪の中でカポエイラをすると、誰もが虜になります!
カポエイラの昇段、帯とApelido(アぺリド)
カポエイラにも日本の武道と同じようにレベルを表す帯が存在します。
この帯は流派やグループによって異なり、統一されたものはありません。
初めて昇段する人は帯と共に、特別な名前(あだ名)『Apelido(アぺリド)』をもらいます。これはかつてカポエイラ弾圧時代、お互いの身を守るために本名を隠し、あだ名で呼びあったことに由来していると言われています。
当団体では年に一度、ブラジル・リオデジャネイロ本部より最高師範(メストレ)を招聘し国内で昇段式を開催しています。